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いちばん あいたい ひと

-人間は、「むかし」にもどることができません。

生きていると、「いま」はどんどんすぎて、つぎつぎと「むかし」になっていきます。

でも、だれかに「会いたい」という気持ちがあれば、「むかし」と「いま」はきっとつながる-

『いちばんのなかよしさん』

エリック・カール著、アーサー・ビナード訳

たとえば僕が今いちばん会いたいと願っている人とは、もう会うことはできない。

そうだとしても、まだ「つながる」ということはできるのだろうか。

そうだったらいいな、とは思うけれど

目の前のあれこれに忙殺されて、少しずつ少しずつ僕の中から大切な記憶や思い出が失われていくのが、この頃とても哀しい。

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話はわかったよ。で、その鈴をいったい誰が猫の首にかけるんだい?

-みんなは たがいの かおを みるばかり。

だれも手をあげませんでした。

そう、だからね、いまでも ネコは、

ネズミを おいかけているのです-

『エリック・カールのイソップものがたり』

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数遊び

エリック・カール『1、2、3どうぶつえんへ』

好きな数字、というのは小さな子どもにもあるらしい。

仲の良いお友だちが住んでる部屋の階数だとか、誕生月だとかで何となく親密な感じがしてくる数字もあるし、単にアラビア数字のこの形が好き、というのもある。

大人になってからも、実務的なところでいくつかの数字に一喜一憂したり、験 (げん) を担いでみたり、偶然の一致に勝手に運命的なものを感じたりもする。

僕のラッキーナンバーは、今はまだ言わない。

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いまから かくのは

-えを かく こと

それは のびのびと

いきることだ-

エリック・カール 『えを かく かく かく』

黄色い牛だよ、と喜ぶ子どもの顔を見て、ようやく目が覚めた。

ライオンが緑だっていいし、象がオレンジ色だっていいし、別にシロクマが黒くってもそれはそれでいいなと思った。

まちがった色なんて、そんなものはないな。

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くもは へんじを しません。すを つくるのが いそがしかったのです

エリック・カール 『くもさん おへんじどうしたの』

僕はこの話が好きで、子どもたちが真剣に何かを作っているところなんかを見掛けると、いつもこの話を思い出してしまう。

この絵本は巣のところが浮き出たつくりになっていて、てろてろした手触りの巣を撫でながら、子どもと2人で笑った。