IdeaLiving

今日が終わるのが

小さい頃、自分の人生にもやがて終わりが来るという事実を受け入れられなくて、うまく眠れない時期があった。

暖かい布団に包まれて眠ってしまえばこのまま朝が来ないかもしれない。いつもの朝の光が僕を起こしてくれない時が来るかもしれないという「可能性」は、あの頃の僕の心にくっきりとヒビを入れた。

もう少し大きくなって毎日が忙しくなるとそんなことを思い煩うような時間も余裕も無くなって、その時の気持ちは奥の方にしまいこむことができた。あるいは、成長期に訪れた巨大な睡魔がどこか遠くへ押し流してくれたのかもしれない。

それでも時々、あたりまえのように毎日を過ごせていることを不思議に思うことがある。

子供たちの頭を撫でながら寝かしつけている時。もうこの世にはいない昔の人が書いた小説を読んでいる時。ひとりで散歩している時。

先日、もうすぐ小学生になる子供が夕飯のときに「今日が終わって欲しくない」と突然泣き出したのを見て、人間ってなんて美しいんだろうと思った。

人の寿命を誰が決めているのか僕には全然わからないけれど、もう少し時間が欲しいとあらためて思う。

LivingStyle

アリーナの楽しみ

アルバルク東京のホームゲームのチケットを頂いたので長男と観戦に。

代々木体育館って勝手に呼んでいたのだけど、国立 “代々木競技場” だということに今になって気付く。

めずらしく早めに会場入りできたので、途中で見つけたハーゲンダッツを食べながらパンフレットに目を通す。

ゲームまで少し時間があるので探検を兼ねて場内を散歩。息子はホストチームの名前の入ったペンライトを持ってホクホクしている。

アリーナで大きなゲームを観戦するのは何年振りだろう。

コートで戦っている選手たちが発する声やシューズの音、一緒に観戦する人たちの熱気、ノリの良いBGM、クォーター毎のプチイベント。皆で見つめるスコアボード。

バーチャルも良いけれど、生身の、フィジカルな人間同士のぶつかり合いってやっぱり迫力があって、夜眠るまで心地よい興奮が残っていた。

IdeaLiving

サードプレイス

自分の学生時代、家と学校以外のどこかに自分の居場所はあったかな。

近所の空き地、友人宅、サッカーグラウンド、地元の図書館、近所のおじさんの家。一時期のゲームセンターもそうかもしれない。

当時はそんなこと考えもしなかったけれど、ある程度の安全が確保された居場所のようなものはあったような気はする。

今の世の中、気軽に入れるカフェのような場所が増えたことは良いことなのだけど、何かが足りないような。

公共の場に、もう少し居心地の良い ” 隙間 ” のようなものがあればいいのに、とも思う。

それにしてもマスカットのジュースっておいしい。

GastronomieLiving

レモンケーキ

普段コーヒーばかり飲んでいるのでたまには紅茶でも、と思ってカフェに立ち寄ると

「レモンケーキ」という文字が目に入り、試しに注文してみる。

ちょっぴり疲れている時でもあったので甘味が欲しかったところへレモンの爽やかな酸味も加わって、ティータイムに理想的な軽食。

ケーキと柑橘というのは何故こんなに合うのだろう。

LivingStyle

列車に乗って

乗り鉄でも撮り鉄でもないけれど

時間に余裕のある休みには

電車でいつもより少し遠くまで行って

山の澄んだ空気や優しい川の音をゆっくり味わって帰ってくる。

こういう過ごし方もたまには良いかもしれない。

GastronomieLiving

フィナンシェ

用事で街に出て、さてそろそろ帰ろうかと思ったところで喫茶の看板に気が付く。

そういえば今日は何だか忙しくて3時のおやつ的なものを食べる時間も無かったのだし、珈琲くらい頂いてから帰ってもバチは当たるまい、と自分に言い聞かせて老舗特有の重い扉を開ける。

ブレンドを頼んでひと息つくとメニューの端の「さくらんぼのケーキ」に目がいく。

いやいやこの後すぐに夕飯だから、と脳内で反論しながらページをめくるとそこには「フィナンシェ」と文字が並ぶ。

フィナンシェ、大好物なんです。

GastronomieLiving

デコポンのケーキと聞いて。

子どもの習い事の送り迎えの合間、冷え切った心身を暖めようと、前から気になっていた喫茶店を覗いてみる。

居心地の良さそうな半地下のお店は、夜にはバーになるみたい。

注文したブレンドコーヒーが品の良い音を立てて供される頃になって漸く店内の暗さに慣れてきて、少しずつ目の焦点が合うようになる。

週替わりのメニューのところに『デコポンのケーキ』と書かれているのを見つけてまごまごしていると

「シンプルですけど、おいしいですよ」とお店の人が声を掛けてくれる。

僕は頷いて、柑橘の香りを思い浮かべながら残り少なくなってきた珈琲を楽しむ。

IdeaLiving

こども達の見ている世界

自分がまだ小さな子どもだった頃に、何か乗りものを見たり乗ったりして驚いたという記憶はあまりない。

新幹線も割と丸っこいデザインをしていたような気がするし、車だって人を威圧するような大きさではなくて

いかにもお父さんが休日を家族と楽しむための、というような控えめなものが多かったように思う。

近頃の乗りものはスピードもパワーも収容力も格段にアップしていて、今にもロボットに変形したり合体したりしそうな (実際にアニメではそういうシーンも) デザインも見かける。

今を生きている子ども達は今の世界に存在しているモノから刺激を受けて育っていくのだとしたら、これからどんな世界を創っていってくれるのだろう。

GastronomieLiving

手巻きのあとは

手巻きに使ったツナ缶の残りでパスタ。

おせち料理に飽きた頃なので、家でさっと作ったパスタでもやけに美味しい。

いつもより厳しいこの冬の食欲には限りがなく、今度はトマトにアンチョビの効いたピッツァも食べたくなってくる。

LivingStyle

帽子のある生活

いつの頃からか、自分は帽子が似合わない人間なんだと思いながら生活するようになったので

防災的な意味合いのものを除いて、自発的に帽子というものをかぶってみたことがない。

僕以外の家族は割に帽子が似合うタイプで、

日差しが強い暑い日や耳が凍りつくような寒い日には、その日にかぶる帽子を楽しそうに選んでいる。

暖かそうな色付きの帽子をかぶせてもらったお地蔵さんを見かける度になんとなく羨ましいような気になってしまったりして。