
息子を習い事に送り届け「また後で」と手を振ったあとは一度家に戻っても良いのだけれど、
1時間にもならない細切れの時間とはいえ、せっかく手に入れた自由時間だからとカフェで一休みすることにする。
飲みものが運ばれてくる間、店内を満たす珈琲の香りを嗅ぎながら、本も読まず、誰とも話さず、ただそこに座っているだけ、という時間は案外なにものにも代え難いものかもしれない、なんてことを考えていた。
考えてみればカフェも、ホテルも、あるいは海辺みたいなところも本来そういう時間を過ごすために存在していて、
おいしいものが食べたい、評判のアレを試してみたい、みたいなことはもっともっと付随的なものなのかもしれない。
でも、ひと息ついて届けられた珈琲とケーキのセットは、やっぱりおいしい。