GastronomieStyle

Chocolat chaud

冬になると無性に食べたくなるものが2つあって、ひとつはビーフシチューで、もうひとつはチョコレート。

チョコレートはもちろん固形のものも好きなのだけれど、自分にとってのスペシャルはなんと言ってもホットチョコレート。

風の冷たい2月には温かい飲みものが恋しくなるもの。

珍しく自転車で遠出をしてみたら、通りには今まで気が付かなかった看板と「ショコラショー」の文字。

たまらず自転車を降りて早速オーダーしてみると本日はブラジル産のカカオ、とのこと。

日替わりで産地が違う?

甘い香りのするホットチョコレートを受け取り、ゴクリと一口。

喉元を過ぎる濃厚なチョコレートがゆっくりと心身を暖めてくれる。

ガラスケース越しに見た6個入り程の小さなアソートのひとつでも買っておけば家でも楽しめたのに、とお店を去った今になって後悔している。

IdeaStyle

木工玩具の手触り

小さい頃、公園で大きめの枝を拾い集めては自分の基地に積み上げていた。

ザラザラトゲトゲした枝もあればやけにツルリとした肌の枝もあって、それぞれに武器として名前を付けるだけの特徴を持っていて、飽きずに何日も没頭したのを覚えている。

現代の洗練された木工玩具とは比較にならないようなコレクションではあったけれど、当時の自分にとってはその全てが宝物で、

それから何十年経った今でも、木の温もりを感じながら時々懐かしく思い出したりしている。

Gastronomie

真冬の札幌味噌らーめん

ラーメンという食べものはいつ食べても美味しいものだけど

なんと言っても寒い時期にハフハフ言いながら啜るのが一番。

北海道フェアで見つけた札幌味噌を自宅で堪能する。

毎度の事ながら、ラーメンに入っているメンマとかモヤシって何でこんなに旨いのだろうと感心してしまう。

GastronomieLiving

デコポンのケーキと聞いて。

子どもの習い事の送り迎えの合間、冷え切った心身を暖めようと、前から気になっていた喫茶店を覗いてみる。

居心地の良さそうな半地下のお店は、夜にはバーになるみたい。

注文したブレンドコーヒーが品の良い音を立てて供される頃になって漸く店内の暗さに慣れてきて、少しずつ目の焦点が合うようになる。

週替わりのメニューのところに『デコポンのケーキ』と書かれているのを見つけてまごまごしていると

「シンプルですけど、おいしいですよ」とお店の人が声を掛けてくれる。

僕は頷いて、柑橘の香りを思い浮かべながら残り少なくなってきた珈琲を楽しむ。

Lectio

暦の上の季節はいつでも天文学者の計画したとおりに進行していく。

- 吾々がもっている生理的の「時」の尺度は、その実は物の変化の「速度」の尺度である。

万象が停止すれば時の経過は無意味である。

「時」が問題になるところにはそこに変化が問題になる四元世界の一つの軸としてのみ時間は存在する。

ところがこの生理的の速度計はきわめて感じの悪いものである。

ある度以下の速度で行われる変化は変化として認める事ができない。

これはまた吾人が箇々の印象を把持する記憶の薄弱なためとも言われよう。-

寺田寅彦 / 春六題