
暖かい家のなかで鍋をつついて、酒を呑んで、なにやらガヤガヤとしたテレビ番組を観て、そろそろ今年が終わろうとしている。
12月31日、外ではまだ雪がしんしんと降っている。
暖かい家のなかで鍋をつついて、酒を呑んで、なにやらガヤガヤとしたテレビ番組を観て、そろそろ今年が終わろうとしている。
12月31日、外ではまだ雪がしんしんと降っている。
- 父の死という事件と、悲しみという感情とが、別々の、孤立した、お互いに結びつかず犯し合わぬもののように思われる。
一寸した時間のずれ、一寸した遅れが、いつも私の感情と事件とをばらばらな、おそらくそれが本質的なばらばらな状態に引き戻してしまう。
私の悲しみといものがあったら、それはおそらく、何の事件にも動機にもかかわりなく、突発的に、理由もなく私を襲うであろう。-
三島由紀夫 『金閣寺』