
炎天下で団扇を扇いだって、冷んやりとした空気はつくれない。
やっぱり室内に逃げ込んで、冷風のもとで団扇をパタパタ。それからブルーハワイをひと口。
炎天下で団扇を扇いだって、冷んやりとした空気はつくれない。
やっぱり室内に逃げ込んで、冷風のもとで団扇をパタパタ。それからブルーハワイをひと口。
- ほっそりとした光がドアの下に洩れて、父の声が『みどりの卵とハム』を読んでいた。二人でベッドに入っているのだろう。
枕をならべて、真ん中に本があって、父が読む本のページをアカーシュがめくる。
ルーマはほとんど暗記してしまった本だが、父は初めて遭遇したに違いない。
たどたどしくて、文と文のつなぎ目で考えるような間ができる。ふだんの父らしからぬ芝居っ気を込めようとしていた -
ジュンパ・ラヒリ 『見知らぬ場所』