
-雪が溶けると同時に、花が咲きはじめるなんて、まるで、北国の春と同じですね。
いながらにして故郷に疎開したような気持ちになれるのも、この大雪のおかげでした。
いま、上の女の子が、はだしにカッコをはいて雪溶けの道を、その母に連れられて銭湯に出かけました。
今日は、空襲が無いようです-
太宰治 『春』
-雪が溶けると同時に、花が咲きはじめるなんて、まるで、北国の春と同じですね。
いながらにして故郷に疎開したような気持ちになれるのも、この大雪のおかげでした。
いま、上の女の子が、はだしにカッコをはいて雪溶けの道を、その母に連れられて銭湯に出かけました。
今日は、空襲が無いようです-
太宰治 『春』
「うーん。じゃあテイクアウトメニューもやりましょうよ」
っていう提案や意思決定をすることは提供側のメンバー構成や体力によっては多分本当はとても大変なことで、だからこそ我々消費者は嬉しいし、愉しい。
温め直しできるように耐熱の容器にしてみたり、メニュー変更のために仕入れルート変えてみたり、色々やってるんだろうなとか思ったりして。
- 自分は時々頭をねじ向けて洗面台の上に眼をやって、花も葉も日々に色の褪せていく哀れな鉢を見ないではいられなかった。
(中略)
三週間あまり入院している間に自分の周囲にも内部にもいろいろの出来事が起った。
いろいろの書物を読んでいろいろの事も考えた。いろいろの人が来ていろいろの光や影を自分の心の奥に投げ入れた。
しかしそれについては別に何事も書き残しておくまいと思う。
今こうしてただ病室を賑わしてくれた花の事だけを書いてみると入院中の自分の生活のあらゆるものがこれで尽されたような気がする。
人が見たらなんでもないこの貧しい記録も自分にとってはあらゆる忘れがたい貴重な経験の総目次になるように思われる-
寺田寅彦 『病室の花』