
- ひとりが起って窓の障子を開けると、
雨は何時か (いつか) あがって、
新緑の香を含んだ気持のいい山の冷々 (ひえびえ) した空気が流れ込んで来た -
志賀直哉 『焚火』
- ひとりが起って窓の障子を開けると、
雨は何時か (いつか) あがって、
新緑の香を含んだ気持のいい山の冷々 (ひえびえ) した空気が流れ込んで来た -
志賀直哉 『焚火』
朝からの散歩で喉が渇いていて
まだ早い時間のおかげか客もいないのでテラス席に通してもらった。
ひさしぶりに飲む日曜日の午前のビールはとてもおいしかった。
それでも父が仕事終わりにビールを飲んでいた頃の顔を思い出すと
僕はまだビールの本当のうまさを知らないのかもしれないなと思ったりした。
-最後の手紙は立派に自分の額に傷を与えてくれた。
これは僕にとってよかった。僕はもう処女ではない。
獅子だ。傷ついた、孤独な獅子だ-
武者小路実篤 『友情』
近世から現代にかけて我々が少しずつ (でも確実に) 擦り減らしてきてしまったのは、道徳的潔癖さや、ある種の「気高さ」かなと時々思ったりもする。