Idea

プライオリティ

束の間、ここ何年かの自分を振り返っていた。

物事に優先順位をつける、ということは実生活においてこれほども有用なことなのか。

フムフム。

社会で生きていくうえで、夫や父としての役割を果たすうえで、いま必要とされているのはコレかもしれないな。

なんて思いながら過ごしてきた。

でも、新型ウィルスが世界を変え、それぞれの地域や家庭のあり方を変え、日々の生活や価値観をすっかり変えてしまった今になってはじめて

どうも何か大事なモノをぽろぽろと落としてきてしまったような気もしている。

落としてきたものが何なのかも、じゃあ一体どうしたら良かったのかということもまだわからないけれど。

Lectio

開け放たれた窓を外部 (そと) から見る者は、閉ざされた窓を透して見る者と、決して同じほど多くのものを見ない。

-蠟燭 (ろうそく) の光に照らされた窓にもまして、奥床しく、神秘に、豊かに、陰鬱に、蠱わし (まどわし) 多いものはまたとあるまい。

白日の下に人の見得るものは、常に硝子戸のあなたに起るものよりも興味に乏しい。

この暗い、または輝いた孔虚 (うつろ) の中には、人生が生き、人生が夢み、人生が悩んでいる-

ボードレール 『窓』