
-あるいは寒い冬のあとで柔らかい春風に吹かれた時に、
あるいは激暑の真昼沛然 (はいぜん) とした夕立に逢った時に、
常にそれらの我々自身でない気象においてまず我々自身を了解するのであり、
従ってさらに気候の移り変わりにおいてもまず我々自身の移り変わりを了解するのである-
和辻哲郎 『風土の現象』
-あるいは寒い冬のあとで柔らかい春風に吹かれた時に、
あるいは激暑の真昼沛然 (はいぜん) とした夕立に逢った時に、
常にそれらの我々自身でない気象においてまず我々自身を了解するのであり、
従ってさらに気候の移り変わりにおいてもまず我々自身の移り変わりを了解するのである-
和辻哲郎 『風土の現象』
少し早く起きて、ふわりとしたやさしい風と光を浴びながら散歩する。
1年のなかで一番好きな5月なのにと思わないではないけれど、
いつかまた、のんびり散歩しながら珈琲を飲める日が来ますようにと願いながら家に帰る。
-私はあのころ、実生活の上では何一つできなかったけれども、
心の内には悪徳への共感と期待がうずまき、何もしないでいながら、
あの時代とまさに「一緒に寝て」いた。
どんな反時代的なポーズをとっていたにしろ、とにかく一緒に寝ていたのだ-
三島由紀夫 / 小説家の休暇 『昭和30年6月24日(金)』