Living

湯めぐり気分

いくら晴れていても、風の冷たい日が続くと体力と気力を奪われてしまう。

免疫力を維持するためにはとにかく体温を高く保つこと、という脳からの指令に応えるため、久しぶりに入浴剤を投入してみた。

「本品は温泉の湯を再現したものではありません」とは書いてあるものの、

効能 (冷え症、肩こり、腰痛etc) も色々あるみたいだし、『にごり湯』ってなんとなく気分もあがる。

昔は入浴剤の香りがあまり好きじゃなかったのに、今はとても癒される。

自分が変わったのかな、いや、やっぱりこういうところにも長年の企業努力というのがあるのかもしれない。

Lectio

高いとこのながめは、アアッ (と咳をして) また格段でごわすな

-「ああ、そうですな」

少しまごつきながらそう答えた時の自分の声の後味がまだ喉 (のど) や耳のあたりに残っているような気がされて、

その時の自分と今の自分とが変にそぐわなかった。

なんのこだわりもしらないようなその老人に対する好意が頬に刻まれたまま、峻はまた先ほどの静かな展望のなかへ吸い込まれていった。

風がすこし吹いて、午後であった-

梶井基次郎 『城のある町にて』