Lectio

私はここへ来て、あなたの仕事の邪魔をしたいなどと少しも思っていません。

-今暗い夜道を散歩して来たのです。

どこの家にも私のようなことがあるのかと思ひながら散歩して来ました。

でもどこも明るいでんきがついて、

何だか楽しい夜の一時があるように思えてならなかった-

谷川俊太郎 『惚けた母からの手紙』

GastronomieLectio

書きながら飲むというようなことは、めったにしないが、酒とは親しいつきあいである。

-若い頃からぼくは特別にブドー酒が好きだった。

よくひとから、どうしてそんなにワインを好むのか、という質問をうけるのだが、

特にむずかしい理由があるわけではない。

その頃たまたま飲みはじめたブドー酒の酔い心地が非常によかったからである-

山本周五郎 『ブドー酒・哲学・アイスクリーム』