
雑誌をパラパラやっていて、ふと懐かしい記憶が蘇った。
ひとり暮らしを始める僕に、友人たちがRussell Hobbsのポップアップトースターをプレゼントしてくれたのを思い出した。
「食パンを焼くだけのための機械」を持つということが何だか贅沢に思えて、新生活へのワクワク感みたいなものを皆からもらったのを覚えている。
雑誌をパラパラやっていて、ふと懐かしい記憶が蘇った。
ひとり暮らしを始める僕に、友人たちがRussell Hobbsのポップアップトースターをプレゼントしてくれたのを思い出した。
「食パンを焼くだけのための機械」を持つということが何だか贅沢に思えて、新生活へのワクワク感みたいなものを皆からもらったのを覚えている。
-まず第一に、友人同士の好意の中に安らいを見出さない人生が、どうしてエンニウスの言うところの「生きるに値する人生」たりえようか。
まるで自分に語るように、安んじて全てを語りうる人を持つことほど嬉しいことがあろうか。
自分と同じだけそれを喜んでくれる人がいないのなら、繁栄の中にあったとて、どうして大きな喜びがあろうか。
まことに、逆境を自分以上に重く身に引き受けてくれる人がなければ、それを耐えるのも難しい-
キケロー 『友情について』
-何処 (いずこ) を見ても若葉の緑は洪水のように漲り溢れて、
日の光に照されるその色の強さは、閉めた座敷の障子にまで反映するほどなので、
午後の縁先なぞに向い合って話をする若い女の白い顔をば、色電気の中に舞う舞姫 (バレエ) のように染め出す。
どんより曇った日には緑の色は却って鮮かに澄渡って、沈思につかれた人の神経には、
軟い木の葉の緑の色からは一種云いがたい優しい音響が発するような心持をさせる事さえあった-
永井荷風 『花より雨に』
人の少ない川沿いを歩けるだけ歩いてみようと思い立ってなんとなく家を出てみたものの、
切り株やベンチを見つけては休み、歩いては休みを繰り返すと、思いのほか歩けてしまう。
ちょっとした悦びや発見もある。
ガンダムは本当に小さな頃から好きで、オトナになってからもついつい観てしまう。
「何がそんなにいいの」と聞かれて一言で表現するのは難しいけれど、群像劇だから、というのはあるかもしれない。
僕は「人の在り方、生き方」とか「人と人との関わり方」みたいなものに興味があるのかもしれない。
そういう意味では、ロボット物とか宇宙物とかの括りというよりは、三国志とか日本における戦国期のアレコレに近い感覚で観ている気がする。
-ルクレティウスの述べている通り、
「このように、ひとはみな、つねに自分自身から逃れようとする」わけだ。
しかし、そんなことをして何になるのだろう。結局、逃れることなどできないのに。
自分のあとを追って付きまとう、最も厄介な同伴者は、自分自身なのだから-
セネカ 『心の安定について』
-シナ人がこういう柱のふくらみを案出し得なかったかどうかは断言のできることでないが、
しかしこれが漢式の感じを現しているのでないことは確かなように思う。
仏教と共にギリシア建築の様式が伝来したとすれば、それが最も容易な柱にのみ応用せられたというのも理解しやすいことで、
これをギリシア美術東漸の一証と見なす人の考えには十分同感ができる。
もしシナに漢代から唐代へかけてのさまざまの建築が残っていたならば、仏教渡来によって西方の様式がいかなる影響を与えたかを明白にたどることができたであろう。
しかるにその証拠となる建築は、ただ日本に残存するのみなのである-
和辻哲郎 / 古寺巡礼 『エンタシス ギリシアの影響』
-戦争を境に、私は子供のときに大切にしていた本のほとんどぜんぶを失くしてしまった。とはいっても、家が戦災にあったわけではない。
すべてがせっぱつまったなかで、十五歳から十六歳にかけての一年間、東京の家から関西の家へ、そのつぎは家族と別れてひとり東京の学校の寄宿舎へと移りあるいているうちに、
ここで一冊、あそこで二冊と、無くしたり、そんなものは置いていらっしゃい、と言われたりしながら、
セミが殻を脱ぐように子供時代を脱いでしまって、
大切にしていたさして多くない宝物を、惜しいとも思わないであちこちに散らせてしまった-
須賀敦子 『葦の中の声』
思い返してみれば、こどもの頃から物心両面で本当にいろんなものを捨てたり、置いてきたりしてしまったなとも思うし、一方で根本的なところは何ひとつ変わってないような気もする。
今日は鰻屋さんのお弁当。
鹿児島の大根 (沢庵) と鰻。ちょっぴり日本酒。
-それはもう私だけの個人的な話ではなくなり、私はこれを、そこに書いてあることの多くを私と分け合い、
またそれを暗示してくれた人たちにお返しすることにした。
それで私はここに、私と同じ線に沿ってものを考えている人たちに対する感謝と友情を添えて、
海から受取ったりものを海に返す-
アン・モロウ・リンドバーグ 『海からの贈物』