
-美術というものは元来人間の想像の華である。
その根本は装飾の意思本能にある。美術とは世界の装飾にあるともいえる。
美は外界にはない、人間の心の衷 (うち) にある。
それが外界の形象をかりて表れると自然の美となりその表現が写実となる。
それが外界の形をかりずにすなおにじかに内から”うねり”出て来たものが、装飾美術になる。
古代の器具や、野蛮人や農夫の器具に何ら自然物にたよらぬ線状で (波状輪状等) 美くしい装飾のあるのは即ちその一例で、その他建築の屋根の曲線や、瓶壺等の線などにそれは表れる。
美術はすなわちこの装飾が元である。
「美」に置くという事が装飾で、その美は人間の衷なる心の要求でありまた本能である-
岸田 劉生 『想像 (イマジネーション) と装飾の美』
美に置く。フムフム。