Lectio

ただし、はるかな古代、草原は人間だけは棲息しがたかった

-採集すべき木ノ実もないし、けものに近づこうにも、一望の平坦地であるために相手が遁げてしまう。

採集時代の人間はやはり森のある土地がその棲息の適地で、

農耕時代になると、人間たちは森から出て低地に棲み、河の氾濫が繰り返される湿潤の地やオアシスで穀物などを栽培した。

むろん、この段階においても草原は見捨てられた地だった。

「草原に住む」

という暮らしのシステムを考えついた偉大な民族は、スキタイであった-

司馬遼太郎 『天山の麓の緑のなかで』

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採集時代の記憶

息子が団栗 (どんぐり) を集めてきた。

丸々としたもの、細長いもの、赤っぽいもの、帽子を被っているもの(椎の実?)。

そのいくつかを石で割ってみると、思いのほか綺麗な色の実が出てきた。

食べられないのと問われ、「食べられないこともないけど、今はね」と曖昧に答えて散歩を続けた。

あるいは一欠片くらい食べさせてみても良かったのかもしれない。