Lectio

長い手紙

-夫が死んだとき、北海道の修道院にいたしげちゃんから、だれからももらったことのないほど長い手紙がイタリアにいた私のところにとどいた。

卒業以来、彼女からもらった、はじめての手紙だった。

むかしのままのまるっこい書体で、私の試練を気づかうことばが綿々とつづられていた。

こころのこもったそのことばよりも、なによりも、私は彼女の書体がなつかしかった。

修道女になっても、まだおんなじ字を書いてる、と私は思った-

須賀 敦子 『遠い朝の本たち』

手紙もいいな、と思った。

小さい頃に、まだ元気だった祖母に宛てて書いた短い手紙のことを思い出した。下手っぴな字で、いつまでも元気でいてねと書いたその時の気持ちは今でも覚えている。

Musica

あのね あの人パパにどこか似てるの

PRINCESS PRINCESS / パパ

初めて聞いたのはカラオケルームだった。

職場の先輩が妹の結婚式で歌ったというその曲を聴いて、(その当時僕はまだ独身で、将来自分が父親になることなんて想像もできなかったけれど) 何かいい曲かもと思ってアンコールをねだったのを覚えている。

僕にとって 「パパ」といえばその先輩の歌声バージョンがデフォルト設定になっていて、長らく原曲は知らないでいた。

ひとりで車を運転していて、ラジオから奥居 香 (今は岸谷 香なんですね) の声が聴こえてきて、”世代” でもないのにちょっとジンときてしまった。

LectioStyle

遠い朝の本たち

背表紙のタイトルに惹かれて文庫を手に取ってみると、カバーデザインも僕好みだった。

舟越桂のおもちゃのいいわけ?

中身はまだ読めていない。でもいい予感はある。