-彼はただしっかり眼をあけていさえすればいいのだ。
その眼が網の代りになり、そいつにいろいろなものの影像 (すがた) がひとりでに引っかかって来る-
影像の狩人 Le Chasseur d’images
博物誌 / ジュール・ルナール (岸田国士 訳)
ヒトの五感について、この頃不思議に思う。
僕が撮った写真にも動画にも、今さっき感じた生き物の震えや樹々の美しさ、踊りだしたくなるようなリズムや身を切るような風、そのときの驚きや悦びは、どこにも記されていない。
それらのぼんやりとした輪郭のようなものだけが残されている。