-このさき五年のうちに我々が一人残らずみな原爆で木っ端(こっぱ)微塵に吹き飛ばされてしまう可能性が極めて高いことを考えるなら、これまでに原爆が引き起こしてきた議論の広がりは、当初の予想よりはるかに小さい。
原爆は、大規模な戦争の時代に終わりをもたらす可能性が高い。その代償として我々が手にするのは、いつまでも延長されていく「平和なき平和」の状態なのだが-
ジョージ・オーウェル / あなたと原爆
本書の解説の冒頭で、訳者の秋元孝文さんがこう書いている。
「オーウェルが鳴らした警鐘は、現代にこそ高く響く」
1945年の8月、原子爆弾が我が国に投下され、戦争は終わった。オーウェルのこの文章はそのわずか2ヶ月後に書かれている。
70年以上が経った今も、人類は核を放棄できていない。